株式会社丸協

【コラム】断熱性能の今後


最近よくハウスメーカーの広告で「UA値」など聞きなれない断熱性能が取り上げられ皆さんも気にされ始めていると思います。
今日はこの断熱性能の今後についてお話していきます。




まず、断熱性能の良し悪しはUA値(外皮平均熱貫流率)で示され、数値が小さいほど性能が高いということになります。分かりやすく言えば、冬季に寒くなるとセーターを着ると思います。毛糸で編まれ厚くて暖かいですが、外に出ると編目が荒いので冷たい風が入ってきてしまいます。そこでセーターに比べると紙のように薄いですが風を通さないウィンドブレーカーを着ると、風を通さなくなり暖かくなります。これが住宅で言うところの「断熱」と「気密」になります。


新築の住宅は2025年から省エネ基準と呼ばれる基準が義務化され、2030年にはさらに高い基準である「ZEH(ゼッチ)基準」が義務化される予定となっています。

本来は住宅を建てる人が自分好みの基準で断熱を決めればいいと思うのですが、そうはいきません。2015年フランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、世界的な温暖化を防ぐために採決されているためこのような基準の義務化に至っているのです。これが有名な「パリ協定」と言われ「京都議定書」の後継となるもので、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。(歴史上はじめて、気候変動枠組条約に加盟する 196カ国全ての国が削減目標・行動をもって参加することをルール化した公平な合意なのです)



また、断熱性能の高さごとに、等級が定められています。住宅の断熱性能の判断基準となる等級について、解説します。
住宅における省エネや品質確保の促進などに関する法律によって規定された基準(省エネルギー基準)に定められている省エネルギー対策等級の要素の一つに「断熱等性能等級」があります。この等級を確認することで、どのくらい断熱性能の高い住宅なのかを判断することができます。住宅メーカーや施工会社ごとに対応する等級は異なるので、新築住宅を購入する際の参考にするとよいでしょう。
等級は7段階で表示され、等級1が低く等級7が一番高い性能となります。
(等級5でZEH基準の水準となります)




「省エネ基準」や「ZEH」の住宅は最新の基準で極めて高性能な住宅で当然コストも高くなりますが、光熱費が抑えられるのに加え、中古住宅になっても資産価値が保たれ、値下がりしにくいといったメリットも受けられます。

ただし注意しなければならないこともあります。実は「ZEH」基準でさえも、国際的な基準と比べるとまだ低いレベルにあるのです。

例えば、東京で新築住宅を建てる場合
2025年以降の基準UA値は0.87
2030年以降のZEH基準 0.60
一方、 米  国 0.43
    ド イ ツ 0.40
    英  国 0.42
    フランス 0.36

というより高い基準が義務化されていますので、日本のZEH基準は断熱のレベルでいえば入り口に過ぎません。「ZEH基準」では実際に十分な性能であるとは言えないので、近い将来、新築においては工務店や住宅メーカー各社の競争が進むことによって、断熱性能は欧米並みになる可能性もあります。

また、高断熱・高気密は先述した光熱費の削減に加えて、住まいの断熱が健康状態と大きく関係しているということはよく耳にします。国交省スマートウェルネス住宅等推進事業に基づく「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」によると、断熱改修によって家庭血圧が低下という報告がなされています。また、WHOは「冬季室温18度以上」、「住まいの新築・回収時の断熱」、「夏季室内熱中症対策」について勧告しており、国際的にも住まいの断熱は注目されるようになっています。寒暖差が激しい冬のお風呂場で溺水によって亡くなられるケースは、ヒートショックが原因となることが多く、消費者庁によれば、交通事故による死者数の2倍にも上るそうですから、住宅の断熱化と命とのかかわりが注目されているのも理解できます。


最後に、住宅の断熱性能に注目が集まるようになってきましたが、断熱性と気密性の意味、国際的な基準との違いを考えると、まだまだ断熱・気密は進化していくと思います。

荒川



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