先日ファイナンシャルプランナーの講習会に参加して興味深い話がありましたのでご紹介します。
高齢夫婦が長男のために現金を贈与していたお話です。
この高齢夫婦は、結婚して子供が2人いる長男(賃貸マンション住まい)と同居したい思いから
18年間にわたり贈与税がかからない金額を毎年長男には内緒で贈与していました。
長男家族は近隣に住んでおり仲も良いが、次男家族は県外遠方で疎遠になっているため
将来は長男に世話をかける可能性が高く、できれば同居や援助もしたいとの思いからでした。
しかしご主人がなくなり相続申告を行った後1年後に税務調査が入り、合計1,800万円を超す
贈与が暦年贈与(贈与税がかからない)と認められませんでした。
認められなかった理由はよく聞く内容で、長男には内緒で口座を作り通帳と印鑑を
夫婦で保管していたため名義預金と判断されたからです。
暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)で、贈与額が110万円以下ならば贈与税がかからない
というしくみを用いた贈与方法のことです。
★ここで暦年贈与の失敗しない簡単な方法を2点説明しておきます。
①受贈者本人(長男)が普段使用している口座(給与の振込口座、水道光熱費等の支払いをしている
口座)に振り込んで、受贈者が自由に使える状態にする
②贈与の事実を証明するために、贈与契約書を作成する
(内容は簡単で、贈与者と受贈者、金額、振込先口座、日時、印、住所・氏名は自署で)
もちろんこのケースでは長男に内緒で贈与を行っていたので上記の方法ができなかった
とは思います。
また、この件で次男との仲も悪くなり残念なことばかり、、、、
でも私が一番悲しいと思ったことは、高齢夫婦の思いである老後のこと、
大切に思う長男家族への援助など色々な思いが
何も生かされなかったことです。
贈与や相続は自分の意思を確実に伝えるための方法なので
何か大きくお金を動かす時や、慣れない資産の動きなどある際には
専門家に相談できると安心です。
みなさんは普段から自分の意思や意見を大切な人に伝えるようにしてください!
ちなみに住宅資金を親から支援してもらうときに使える制度は
★「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」
→ 親や祖父母といった直系尊属から住宅の購入や増改築の
ためのお金を受け取っても、一定額まで贈与税がかからない制度
新築・購入・増改築の契約をした場合、贈与税の非課税の上限額は次のようになっています
1.省エネ・耐震性・バリアフリーの住宅……1000万円
2.上記以外の住宅……500万円
★「相続時精算課税制度」
→ 受贈者(子や孫)が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、
贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを
合計した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税する制度
などありますが、上記制度には詳細な条件がありますので注意も必要です!
FP 荒川
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