憧れのマイホームを建てる時に、外壁はこだわりたいポイントの一つですよね。
外観デザインに非常にこだわる方も多く、外壁材選びに時間がかかってしまうということが多いです。
最近、お客様にこう相談されました、「決定していた外壁ですけど、さっき見かけたあの建物と同じにしてほしい、、、、」。外壁材は、中に住む人を風雨から守るための『壁』を構成する部材なのですが、基本的にはデザイン性や価格などを重視して選ぶ方が多いです。
しかし、一口に外壁材といっても、近年ではさまざまな種類の外壁材が登場しており、ぞれぞれに特徴があることから「種類が多すぎて何を選べば良いのか分からない…」「選ぶ基準って何?」と悩んでしまわれる方が非常に多いのです。憧れのマイホームは、建てた後、そこに何十年も住んでいくものですので、可能な限り希望通りの家を建てたいと誰もが考える物でしょう。
そこで今回は、現在の新築業界で主流となっている外壁材について、それぞれの特徴や外壁材選びをする際のポイントをご紹介していきたいと思います。
人気の外壁材とは?
それではまず、新築業界において、どのような外壁材が主流になっているのかについて簡単にご紹介していきましょう。中には「壁なんて何を使っても一緒じゃない?」と考えてしまう方もいると思うのですが、実は家に採用する外壁材によって、得られるメリットがかなり変わってしまいますし、メンテナンスでかかるコストなども大きく違うのです。したがって、理想の家を建てるためには、さまざまある外壁材の特徴を学んでおき、あなたの希望をかなえられるものを選んでください。
なお、家の外壁を構成する外壁材は、本当にさまざまな種類が存在しています。例えば、「吹付けタイル、タイル、天然石材、レンガ、窯業系サイディング、金属系サイディング、木質系サイディング、セラミック系サイディング、樹脂系サイディング、トタン、スタッコ、モルタル、ALC」など、あまり採用されることがない物も含めると、確かに「選択肢が多すぎる…」といった状況になっているのです。
もちろん、このようにさまざまな種類が存在する外壁材ですが、「現在の日本の新築業界で主流となっている外壁材とは?」と聞かれると、かなり絞り込むことが可能です。上述しているように、家にとって外壁というものは、非常に重要な役割を持っている部位ですので、建物の寿命自体に影響を与えるものと考え、慎重に採用する外壁材を選ばなければいけません。そこで現在日本国内で主流となっている以下の4種類の外壁材について、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介しておきます。
■窯業系サイディング
■金属系サイディング
■モルタル外壁(左官塗り上げ)
■ALC外壁
窯業系サイディング
まずは、窯業系サイディングと呼ばれる外壁材の特徴です。なお、現在の日本の住宅では、この窯業系サイディングが約70%から80%のシェアを誇っていると言われるほど、圧倒的人気を持つ外壁材となっています。もちろん、窯業系サイディングの中でも、製品によって外壁材が持つ機能性などは異なります。ここでは、一般的な窯業系サイディングの特徴をご紹介しておきます。
窯業系サイディングは、セメント質原料、繊維質原料、および混和材からなる混合原料を成型、養生硬化した強くてしなやかな板状の外壁材です。この外壁材のメリットとデメリットは以下の通りです。
窯業系サイディングのメリット
まずは、窯業系サイディングのメリット面からです。以下のようなメリットがあると言われています。
窯業系サイディングが人気の理由は、コスパが良く、デザインバリエーションが豊富だという点です(カタログも多すぎて選ぶのが大変です)。外壁材は、家の外観に大きな影響を与えるポイントで、人によって「美しいなデザインが良い」「個性的な家が良い」「シックで落ち着いた雰囲気にしたい」など、さまざまな要望が存在します。
窯業サイディングは、豊富なデザインバリエーションが用意されていますので、人によって異なるニーズにこたえられるという点が非常に大きいのだと思います。また、防火性・遮音性に優れているなど、機能的にも十分なメリットがありますし、理想の外観を実現しながら機能的な外壁を作れるという点をメリットに感じる方が多いのだと思います。
なお、窯業サイディングの中には、特別な機能を持たせた高価格なタイプもあるのですが、総合的に考えると施工費などが安く比較的安価に外壁ができるといった事で非常に高い人気を誇ります。
窯業系サイディングのデメリット
窯業系サイディングのデメリットは以下のようなポイントだと言われています。
窯業系サイディングは、外壁材自体に防水機能がなく吸水性が高いというデメリットがあります。基本的に、表面に塗装を施すことで防水機能を持たせているのですが、表面塗装は経年劣化してしまいますので、再塗装メンテナンスを怠ってしまうと、一気に外壁材の劣化が進行してしまいます。また、ボードを並べて張り付けていく外壁なのですが、ボードとボードの間に隙間ができるため、それを埋めるためにシーリングと呼ばれるゴムのような物が施工されます。そして、このシーリングも徐々に劣化して隙間が生じてしまうことになり、メンテナンスを怠ると、水が侵入し「外壁からの雨漏り…」を引き起こしてしまいます。もちろん、外壁の室内側には防水シートが貼ってあるので簡単には水は侵入しませんが!
どのような外壁でもメンテナンスは必要ですが、窯業系サイディングはより手間がかかるというデメリットがあります。
屋根材でも金属系の人気が高くなっていますが、外壁も金属系サイディングの人気が高くなっています。金属系の建材と聞くと「トタン」をイメージしてしまう方が多いのですが、近年では、ステンレスのような丈夫さとアルミのような腐食しにくいという性質を併せ持つ『ガルバリウム鋼板』という金属素材が登場しており、低価格なサイディングボードを実現しています。私たちはみんなガルバと略して呼んでます。
金属系サイディングのメリット・デメリットは以下の通りです。
金属系サイディングのメリット
まずは、外壁材として金属系サイディングを採用する場合のメリットからです。
金属系サイディングの人気が高くなっているのが、機能性が高い外壁が実現するという点が大きいようです。例えば、金属系サイディングは、断熱材と一体となった製品が多く、断熱性が非常に高い壁を実現してくれ、室内の住空間を快適に保ってくれると言われています。また、金属ですので『凍害』の影響をほとんど受けないという点もメリットです。凍害は、外壁内の湿気や水分が凍結と融解を繰り返すことで、内部からボロボロに崩れてしまうと言われています。金属系サイディングは、内部に水分を吸収することがありませんので、凍害の心配がなく、寒冷地の住宅ではとても人気の高い外壁材になっています。
他にも、非常に軽量な外壁材のため、建物への負担が少ない事や、メンテナンスも含めた全体的なコストパフォーマンスに優れている点が人気です。なお、建物の外観に関しては、非常に落ち着いたシックなデザインを実現できるため、そういったデザインが好みの方には非常にオススメです。
金属系サイディングのデメリット
金属系サイディングは、サビなどにも非常に強いと言われますが、金属なのに間違いないので、「絶対にサビない」わけではありません。例えば、台風の強風で外壁に小石などが打ち付けると、表面のメッキに傷がついてしまい、そこからサビが発生する…なんてことが考えられます。また、非常に薄く成形されていますので、耐衝撃にも弱く、凹んでしまうことも多いです。他には。塩害の影響を受けやすいので、沿岸地域では採用できない…などのデメリットが考えられます。
また、断熱材が一体型になっていないものは断熱仕様により大きく性能が変わりますので
注意が必要です。
サイディング材が普及するまでは、日本の木造住宅の大半がこのモルタル外壁が採用されていました。築年数が経過した戸建住宅であれば、ほとんどモルタル外壁ですので、皆さんもどういった外壁かはわかりますよね。
この外壁は、ラス(網状の金物)などの上から左官でモルタルを塗って、その上から塗装などで仕上げていくというのが一般的です。この外壁材のメリット・デメリットは以下の通りです。
モルタル外壁のメリット
まずはモルタル外壁のメリットからご紹介しましょう。
モルタル外壁は、左官によってデザインを作る事ができます。サイディングは決まったデザインになってしまうのですが、モルタル外壁の場合、職人の技術によって波模様をつけたり、型をくり抜いたり、タイルを貼り付けるなど、独自性のある外壁を実現することができます。サイディングのデザインは「選ぶ」ものなのですが、モルタル外壁の場合は「作る」事ができ、これがモルタル外壁にしかないメリットといえます。
なお、モルタル外壁の場合、サイディングのようなボードとボードの隙間が無いので、シーリングのメンテナンスに関する手間が少なくなります。シーリングのメンテナンスは、窓やドア枠部分だけになりますので、コストを抑えられるというメリットがあります。
また、近年ではアイカ工業の商品で「ジョリパット」が、塗料に砂などを混ぜたモルタル外壁用意匠性塗材で人気です。
モルタル外壁のデメリット
モルタル外壁は、防水機能がないため、表面塗装でその機能を持たせなければいけません。また、モルタルは、乾燥収縮を起こしやすいという特性があるため、経年劣化で小さなひび割れが生じやすい…という点も大きなデメリットになります。小さなひび割れの間に補修すれば良いのですが、ひび割れが拡大してしまうと、そこから水が侵入し、外壁からの雨漏りを引き起こします。
ALCは(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)の頭文字をとった名称になり、高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリートのことです。ALCの主成分は珪石、セメント、生石灰などが主原料になり、ALC内部に気泡を含んでいるのが特徴です。この外壁材のメリット・デメリットは以下の通りです。
ALC外壁のメリット
ALC外壁のデメリット
★外壁材選びのポイント
それでは最後に、「どの外壁材を選べば良いの?」と迷っている方のため、外壁材選びのポイントをご紹介しておきます。上述しているように、外壁材にもさまざまな種類が存在しており、それぞれに異なる特徴があることから、「何を選べば…」と困ってしまう方が多いのだと思います。
外壁材選びに関しては、基本的に「どのメリットを優先させるのか?」で考えるのが良いと思います。例えば、「できるだけ安価に!」と考える方もいるでしょうし、「多少お金がかかっても好みの外観にしたい!」など、人によって家に求めるものは変わってしまうものです。ここでは、いくつかの視点で、外壁材選びのポイントをご紹介します。
とにかく安価でオシャレな外観を実現したいという場合は、窯業系サイディングがオススメです。この外壁材は、工場で大量生産を行っているということで、安価で導入することが可能です。さらに、近年の人気の高さから、さまざまなデザイン性のものが登場しており、外観デザインも満足できる物が見つかると思います。
金属系サイディング(断熱材と一体となった製品)は高い断熱性が得られるため、寒冷地の住宅や高断熱の家を実現したいと考えている方にお勧めです。なお、金属系サイディングは、新築時以外にも、外壁リフォーム時に新たな外壁材として採用されることも多いです。屋根と同様、既存外壁材の上から重ねて施工していくカバー工法が採用できるため、安価に工事を進めることができるからです。
「自分だけの外観デザインを実現したい!」「高級感のある家にしたい!」といった考えの方であれば、左官により自由にデザインできるモルタル外壁がオススメです。左官職人による手作業で外壁を作っていくことから、手間とお金はかかるものの、他にない外観デザインの家が実現できます。
ALC外壁は、他の外壁材と比較しても、総合的な機能性が高いと言われています。中でも、耐火性や遮音性に関しては非常に優れていると言われており、過去に発生した大規模地震でも、ALCが防火壁の役割を果たしていたというデータがあるのです。
また、ビルや遮音壁、遮音床に使われるほど「遮音性」にも優れていることから、静かでプライバシーが守れる家を造りたいと考える方にもオススメです。新型コロナウイルスの影響で、周辺環境の音に悩まされている…という人が増えている現在、ALC外壁によって住宅全体の遮音性を高めるのはオススメです。
今回は、さまざまある外壁材の中でも、現在日本国内で主流となっている外壁材の特徴や、家を建てる時の外壁材選びのポイントをご紹介してきました。
今回ご紹介したように、住宅の外壁を構成する外壁材にもさまざまな種類が存在しており、採用する外壁材によって得られるメリットがかなり違ってくるのです。家に求めるものは、人によって異なりますので、あなたが家を建てる時「何を重視するのか?」をよく考えて採用する外壁材を選択すると後悔しないと思います。
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